グラベルクラシックやくらい2025表彰台が証明した、それぞれの強さ
2025年8月、宮城県加美町を舞台に開催された「グラベルクラシックやくらい2025」。舗装路だけでは測れない脚力、荒れた路面をねじ伏せるバイクコントロール、そして長時間走り続ける精神力までが試されるグラベルレースで、強烈な存在感を残した3人がいました。
男子エリートの表彰台を獲得したのは、優勝・沢田時選手、2位・織田聖選手、3位・阿部嵩之選手。
沢田選手は3時間29分42秒でフィニッシュし、織田選手に6分57秒差、阿部選手に6分59秒差をつけて勝利しました。
MTB、シクロクロス、ロードレース。主戦場こそ異なる3選手ですが、グラベルというフィールドでは、それぞれが積み上げてきた強さが鮮やかに表れました。2026年も追いかけたい、注目の3人を紹介します。
圧倒的な走破力。沢田時選手(Astemo宇都宮ブリッツェン)

まず最初に挙げたいのは、グラベルクラシックやくらい2025を制した沢田時選手です。
Astemo宇都宮ブリッツェンに所属し、MTBクロスカントリーを軸にシクロクロス、ロードレースでも国内トップカテゴリーを戦うオールラウンダー。2024年にはMTBアジア選手権XCO、全日本選手権XCC・XCOを制覇し、2025年も全日本選手権XCC・XCOで優勝。まさに日本のオフロードシーンを代表する存在です。
そんな沢田選手にとって、グラベルクラシックやくらいは初挑戦。しかし結果は、初参戦とは思えない圧巻の勝利でした。テクニカルな登りでライバルとの差を広げ、最終的には2位の織田選手に約7分差。3時間半に迫るレースでこの差を生み出す走りは、簡単にできるものではありません。
路面状況が次々に変化するグラベルで必要なのは、単純なパワーだけではありません。滑りやすい上りでトラクションをかけ続ける技術、荒れた下りで失速しないバイクコントロール、そして長時間にわたって高い出力を維持する持久力。そのすべてを高いレベルで備える沢田選手だからこそ、やくらいのコースを支配できたのでしょう。
2026年、MTBだけでなくグラベルでも沢田選手がどんな走りを見せるのか。期待せずにはいられません。
【コメント】
昨年、この「やくらい」を走ったことをきっかけにグラベルの魅力にどっぷりハマり、このレースに帰ってくるのをずっと楽しみにしていました。
今年はさらに厳しいコース、そして強い選手たちが待ち受けていますが、昨年の経験を糧に、さらに強くなった自分をぶつけたいと思います。
【戦歴】
MTB XCO全日本選手権優勝(2021,2024,2025)
MTB XCC 全日本選手権優勝
(2021,2022,2024,2025,2026)
MTB XCO アジア選手権優勝(2024)
シクロクロス全日本選手権優勝(2016,2020)
泥も砂も味方にする。織田聖選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)

2位に入ったのは、弱虫ペダルサイクリングチーム所属の織田聖選手。日本シクロクロス界をけん引するトップライダーです。
2025年の全日本シクロクロス選手権では男子エリート4連覇を達成。序盤からレースを主導し、ライバルを寄せ付けない走りで国内最高峰のタイトルを守り抜きました。その強さは、単に「速い」という言葉だけでは足りません。
シクロクロスでは、泥、砂、段差、キャンバー、担ぎといった多様なセクションに、瞬時の判断と正確な操作で対応しなければなりません。深い砂で前へ進む技術、荒れた路面でもラインを外さない安定感、失速から再加速する鋭さ。織田選手がシクロクロスで磨き上げてきた能力は、グラベルとの相性も抜群です。
グラベルクラシックやくらいでは、沢田選手に続いてフィニッシュ。さらに阿部選手との2位争いをスプリントで制し、わずか2秒差で表彰台の2番手をつかみ取りました。
長距離レースの終盤まで勝負できる脚を残し、最後に競り勝つ。そこには、シクロクロスで数多くの一瞬の勝負をものにしてきた織田選手らしさがありました。2026年も、オフロードのあらゆる局面で見せる鋭い走りに注目です。
【コメント】
UCIレースにパワーアップしたグラベルクラシックやくらいをとても楽しみにしています。
グラベルレースに参戦して2シーズン目になり、昨シーズンよりグラベルバイクに乗っているので楽しみにしていてください!
やくらいを一緒に楽しみましょう!
【戦歴】
・シクロクロス全日本選手権4連覇中(2022-2023〜2025-2026)
・グラベルクラシックやくらい2025 2位
長距離で勝負する、阿部嵩之選手(ヴェロリアン松山)

そして3位表彰台に立ったのが、ヴェロリアン松山所属の阿部嵩之選手です。
JBCFでは「ルーラー」として登録されるロードレーサー。長い距離を安定して踏み続ける持久力、集団やレース展開を読みながら脚を使う判断力、そして勝負どころで踏み込む力が魅力の選手です。
グラベルクラシックやくらいでは、舗装路とは異なる難しさが待ち受けるなかで、織田選手との2位争いに持ち込みました。最後はわずか2秒差で3位となったものの、その走りはロードレーサーがグラベルでも十分に戦えることを強く印象づけるものでした。
グラベルは、長距離を速く走る能力がそのまま結果につながる競技ではありません。しかし、長時間にわたってペースを刻み、状況に応じて力を配分し、ここぞという場面で勝負に加わる力は、ロードレーサーにとって大きな武器になります。
阿部選手がロードで培ってきた経験を、未舗装路を含む長距離レースでどう生かしていくのか。2026年のレースで見せるさらなる進化に期待したいところです。
【コメント】
今年も参戦する事ができ嬉しく思います。レースは厳しくなりそうですが、楽しみ、走りに集中すれば結果は付いてくると信じています。週末のレースが楽しみです。
【戦歴】
2025
グラベルクラシックやくらい エリート 3位
GWS ダストマン(タイ) エリート 5位
2026
UNBOUND GRAVEL オープンクラス 総合16位
3人の強さが、グラベルを面白くする
| 選手 | 主戦場 | グラベルで生きる強み | 注目したい局面 |
|---|---|---|---|
| 沢田時選手 | MTB XC/シクロクロス/ロード | テクニカルな登坂力、荒れた下りでの走破性、高出力を維持する総合力 | 急勾配や滑りやすい登り、荒れたダウンヒルでの差の広げ方 |
| 織田聖選手 | シクロクロス | 泥・砂・段差への対応力、ライン取り、再加速、終盤の勝負強さ | 路面が変わる区間、テクニカルなセクション、フィニッシュ前の接戦 |
| 阿部嵩之選手 | ロードレース | 長距離でのペース配分、効率よく走る巡航力、展開を読む力 | 舗装と未舗装がつながる高速区間、集団走行、終盤まで脚を残す走り |
3選手の強みは対照的です。MTBを軸に戦う沢田時選手は、急登や荒れた下りで差をつける総合的な走破力。シクロクロスの織田聖選手は、泥や砂、段差への対応力と終盤の勝負強さが武器です。ロードの阿部嵩之選手は、長距離でのペース配分と巡航力で勝機をうかがいます。2026年は、テクニカル区間で沢田選手を誰が抑えるか、そして終盤まで脚を残して勝負に持ち込めるのは誰かに注目です。

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